The Last of Us Part2 レビュー【後半大いにネタバレ含む】

2年前のこのぐらいの時期に発表された時、

正直なところ最高の期待と同時に続いてしまう物語に

少し不安を覚えました。恐怖というか。。

あの二人の旅はここで終わらせても良かったんじゃないかと。

 

そんな独特な期待感とともに始めたThe Last of Us Part2

始めた後はあら不思議。購入後2日でストーリーをクリアしてしまった。

 

前作もそうだったけど、かなり良質な長編映画を見ている気分で

プレイできてしまうので、あっという間でした。

 

そしてやはりストーリーへの引き込まれ方が尋常じゃない。

やはり表情や景色など細部の作り込みがNaughty Dogは本当に凄い。

 

終えてみて、

自分の中でPS4ゲームの中で不動の1位はウィッチャー3だったんですけど、

ストーリー性で見ればThe Last of Us Part2が圧勝した。凄まじ過ぎる。

 

1をやった人、正直勧めて良いのか悩んでおりますが、

このゲームのゲーム性が好きだった方はすんなりハマれると思います。

 

あと、前作以上に描写が壮絶です。

正直言って、子どもの前では絶対にやりたくないし

グロいの苦手な人には進んで勧めることはできない。

 

それでも、僕の心にはグッサリ深ーく刺さりました。

結局どういう人に勧められるか?

前作で深く引き込まれた人。まだ2人の旅を終わらせたくない人

そんな人にオススメです。前作やらないでこれをやるのはオススメしません。

 

僕はもうこのゲームを愛してやみません。本当に圧倒された。

でも描写のキツさや決してカジュアルなゲームでは無いので

ぶっちゃけルンルン気分でオススメはできません。

気になる人は1.2合わせて(心の健康を保って)やりましょう。

 

 

 

 

※※※※※※ここからネタバレ全開でいきます。過激な表現もあります※※※※※※

 

 

 

 

 

 

はい、正直に言うと

「2人の旅を終わらせたくない人」

それは紛れも無く僕でした。

 

あえて何も前知識なく、裏ジャケすら見ずにスタートして

本当に良かったと思っています。あの裏ジャケのノーツは0点。

マジで終わってから見て良かった。

 

前作の2人の主人公、エリーとジョエルの旅は

まだ終わらないと思っていた。

 

また新しい形で始まると思っていた僕の予想を大いに裏切り

開始1時間ほどで過去の行動(エリー救出)で恨みを買った人物から

ショットガンで足をズタズタにされるジョエル。

 

ホラーゲームとか相当やってきたはずなんですが、

初めて恐怖と絶望であそこまで心拍数が上がりました。

 

そしてその後、戻って来ていないジョエルを捜索するエリー。

当然エリーを操作する自分の手も汗でまみれます。

 

ついにロッジを探し当てるエリー、無念にも捕縛されて

あの最悪にも鍵となるシーン。

「目の前でジョエルが惨殺」されます。

 

あの時のエリーの表情、叫び声、未だに脳にこびりついてます。

思い出すと本当に胸がキリキリと痛みます。

 

なぜ、あんなにも惨たらしい表現をしたのでしょう。

と、言うよりもこのゲームは全体的に、オーバーなぐらい

「痛々しい表現」に目が行きます。

 

耳を噛みちぎられる敵、ハンマーで左腕を折られる女性

折れた鼻から出る赤黒い血、腹に刺さる木、噛みちぎられる指・・・

 

正直グロいのそこまで得意じゃない僕は、

何度も口を手で覆ってました。ショッキングすぎて。

 

ただ、これは「生きている」という事をこれ以上ないぐらい

リアルに見せた表現方法なんじゃないかと思っています。

 

例えば、普通のゲームであれば死んでいる敵兵が発見されても

「死傷者発見!」ぐらいなもんで終わりそうですが、

 

このゲームが恐ろしいのは敵一人一人に名前があって、

互いに名前で呼び合ってるです。

 

普通に考えりゃ当然です。人だもん。そうやって会話するわ。

でも普通ここまでいわゆる「ザコ敵」一人一人にこだわることはしません。

 

さらに、主人公エリー(とジョエルの弟のトミー)は

敵対グループのボスを4日間かけてバッタバッタ惨殺して復讐を

遂げていきます。

 

ところが後半戦、まさかの「敵対グループの視点で見た4日間」がスタートします

そして主人公は、ジョエルを殺した張本人、アビー。

 

今まで復讐の対象にして怒りをぶつけて来た敵グループに段々と

感情移入して行きます。あれだけ目の敵にしていた人物を。

 

思いませんでしたか?言葉のぶっきらぼうさ、たくましい性格…

それまでの主人公エリーと復讐の対象アビーは苦しいぐらいに似ているんです。

今までの行動が悔やまれるぐらいに。罪悪感を感じまくります。

 

そして、復讐を終え、帰路につこうとするエリーと今度は逆の逆の逆に

復讐者となったアビーとエリーの戦いが始まります。

操作するのはアビー。ここでも絶望です。

「なんで。どうして。今度はエリーを?もういいじゃんか。やめろよ」

って思いながら戦ってました。

 

その後、なんとか殺されずに済んだエリーは彼女と子供と幸せに

誰にも邪魔されない幸せな生活をスタートさせます。

 

生まれたばかりの子供を抱えながら

ラクターに乗って夕日を眺めるシーン。

今作の1番のお気に入りのシーンです。本当に美しかった。

 

でも、まだまだ痛みを終わらせてはくれません。

 

ふとしたタイミングでエリーはジョエルが殺されるあの光景を

何度もフラッシュバックするようになります。

幸せなはずの日常でも、過去に心に負った深い傷で苦しみ続けます。

 

そんなエリーが取った決断は

「苦しみを終わらせるために復讐を完遂させる事」でした。

このバカたれ。ディーナを泣かせよってからに。

 

でも自分のことは自分でケリをつけなきゃいけない時もあります。

彼女の決断に思うことはあっても、彼女の決断ですからね。

 

なんとかアビーを見つけるエリー。

彼女たちは最後の戦いをします。

戦いの最中で指を噛みちぎられるエリー。

最後の激痛ポイント。

 

エリーは結局アビーたちを見逃します。

長い旅路を経て帰路に着いたエリー。

帰宅しても暖かく家族は待っていてくれませんでした。

 

誰もいない家。ジョエルの残したギターを手に取るエリー。

小指と薬指を失った左手ではコードも満足に抑えられません。

 

ギタリストなら誰もが一度は想像する「指を失ったらどうしよう」

これがエリーに起こります。悲しくミュートされるギター。

ここが個人的には一番応えました。ジョエルから教わった大事なギター。

この傷は、僕に取っては一番痛々しく感じた。

 

その後、ジョエルとの思い出の回想に移ります。

自身を救出したジョエルを叱咤するエリー。

「私の人生はあそこで終わっていたはず。」

「一生許せない。でも許したいと思っている」

 

ジョエルは返します。

「それでいい」

「神様がもう一度チャンスをくれても、同じことをするだろう」

 

少しセリフは違うと思います。

 

回想を終え、ジョエルからもらったギターを置き去りにして、

エリーは家を離れます。

 

こうして終わります。

 

 

彼女の痛みは、消えないと思います。

全編を通じて痛々しいこの物語ですが、

だからこそ人の生き方、感情、すごく繊細な心の動き

全部高い次元で昇華されているように思えました。

 

少女だったエリーは大人になって、とても苦しんで傷ついて。

負うべきであったのかどうかもわからない傷を負って。

 

プレイヤー自身にも取った行動の罪悪感が降りかかってきます。 

安直に倒してきた奴らも人間なんだぞ、と。

その罪悪感をこんなに感じるゲーム無かったです。

メタ的な要素ってほとんどないのに。

 

でもなんか、人って本当に傷つかんでもいいのに

自分から傷つきに行ってしまうこともあるよね。

ありのまま、これ以上ないぐらい人間らしさ出ていたゲームでした。

 

これはもうエゴですが、マジで3作目出るならエリーを幸せにしてやって欲しい。

 

ごめんなさい、綺麗にまとまらなかったけど、

このゲームは綺麗にまとめていいもんじゃないと思う。

だからこそ、やった人みんなで感覚を共有しまくりたいです。本当に。

 

白でもない、黒でもない。そんな簡単なもんじゃない。

白黒はっきりしている同じNaughty Dogが作ったアンチャーテッドとは

驚くほど対象的なゲームです。(ジャンプ力も超人的じゃないし)

 

ああ、人に会いたい。

一周回って人に会いたくなる。仲良く平和に遊びたくなる

そんなゲームでした。

 

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